なすみの日常ブログ

アラフォー独女のぼっち生活

そんなアイデアがあると知ってしまったことがこわい

 

※1 《大口病院点滴殺人初公判》“白衣の堕天使”久保木被告の計画殺人の真実「急死させるために使った“ワンショット法”」 | 文春オンライン

※2 大口病院連続点滴中毒死事件 - Wikipedia

 

 

この事件を知って私が一番怖いって思ったのは、そのような考えや方法があるということを知ってしまったということ。

そのような考えとは、自分の業務の負担を軽くするために患者を殺そうと考えること。

そのような方法とは、点滴から消毒剤を注入するという行為。

私は働いていた時、患者さんを殺そうと思ったことはありませんでした。

この事件を通して、私の頭にはなかった考えや方法があると知ってしまった。

この「知ってしまった」という状態になにかすごく不安を感じてしまいます。

知らなければ、思いつかなければ、行動にうつすことはありません。

でも、今はその選択肢があることを認識してしまった。

こわいです。

 

私は患者さんを殺そうと考えたことはありませんでした。

ただ、亡くなりそうな患者さんを夜勤で担当するときには、

自分の勤務開始前に亡くならないかなとか、自分の勤務終了までは亡くならないでと思ったことなら数えきれないくらいあります。

その理由はこの犯人と全く同じでした。

「日勤の看護師が残っている間に○○さんを死亡させれば、日勤の看護師が家族に説明してくれる」(※1)

これは、わかる。

すごくわかる!!

患者さんが亡くなると、いろんなことを同時にやらないといけないので非常に忙しい。

その上、家族に気を使うので精神的にも非常に疲弊します。

家族への対応、医師へ報告、死後処置、そして自分が担当する他の患者の対応。

日勤であれば、スタッフの人数もある程度いるので、それぞれ忙しかったとしても、できる範囲で少しづつ手伝って協力しあうことができます。

「家族に連絡するよ」とか、「先生に連絡するね」とか、「死後処置の準備はしておくよ」とか、とても助かります。

その間に亡くなった患者以外の自分の担当患者のことを済ませて、患者の家族が到着したらそこにしばらく集中して対応できるのです。

しかし、夜勤で患者さんが亡くなると全てのことをほぼ自分一人でやらないといけません。

日勤に比べ、夜勤は圧倒的にスタッフの人数が少ないからです。

普通に働くだけでも目の回る忙しさなのに、そこで患者さんが亡くなるともうわけがわからないくらい忙しくなってしまう。

夜勤の時、担当する患者さんが亡くなるとどれだけ大変か身をもって知っているので、自分が日勤の時にそのような患者さんを担当すると、日勤のうちに亡くならないかなって思いながら働いていました。

 

 

○○さんが無断外出してけがをすれば自分の責任になると考え、次の勤務日である18日よりも前に○○さんを死亡させようと決意した(※1)

これもねー、気持ちはわかる。

わかってしまうのがこわいけど、わかります。

どんなに説明しても勝手に病院を出て行こうとする患者さんの対応は非常に困難です。

認知症の患者はもちろん、認知に問題がない患者だっていろんな理由をつけて勝手に出て行こうとしたりしますから。

力づくで止めることはできません。

出て行かないように目を光らせるのも限界があるので、ちょっとした隙にスッと出ていかれてしいまうこともあるのです。

そして、出て行ってしまうと担当看護師の責任にされてしまう。

ほんとにうんざりします。

夜間だけでも病棟を閉鎖して欲しいなって思いながら働いていました。

だからといって、その患者を殺そうとは通常はなりませんけどね。

 

「『女帝』と呼ばれる60代パワハラ看護師の存在」や「人事査定でえこひいきがあったり、自分だけ忙しい仕事を回されたりしているといった不平不満があり、看護師同士で言い争いになったこともあった」(※2)

通常業務だけでかなりストレス度が高いのに、さらに病棟の人間関係が最悪って、、、

この職場環境の悪さは犯人の精神状態の悪化させる要因にもなったのではないかな。

私がこれまで働いた病棟は比較的人間関係はよかったにもかかわらず、それでもメンタルの調子をおかしくする人ってたくさんいました。

そんななか、師長はスタッフの相談を積極的にうけていたし、一時的に軽い業務につけるように配慮してくれたりしていました。

私もメンタルがおかしくなったとき、夜勤を減らしてもらったことがありました。

このように誰か犯人を気にかけていた人があの病棟にいたのかな。

犯人が相談できるような人がいたのかな。

この人を気にかけてくれる人がこの病棟にいたら、結果も違ったものになった可能性もあると私は思っています。

記事によって犯行の経緯はわかりましたが、この犯人がどのような職場環境、人間関係のなかで働いていたかもっと詳しく知りたいと思いました。

 

 

この事件って、やり方を真似しようと思えばできちゃうところがこわい。

この犯人は犯行を続けたから逮捕されたけど、1回だけとか、期間をあけてとかにしたら発覚しないかもしれない。

看護師だけでなく、注射器があれば患者さんに接するすべての人が異物を点滴に混入したり、ワンショットで人体に注入することは可能です。

発覚していないだけで事件が起きているかもしれないと思うとほんとに恐ろしいです。

 

第一審では無期懲役でしたが、双方が控訴しているようなのでこれからの裁判の行方も気になるところです。

この事件と似たような事件があったと思いますが、そちらがどうなったのかも気になっています。

元看護師、相当量の空気を複数回注入か 茨城・介護施設連続殺人事件 [茨城県]:朝日新聞デジタル

 

文春の記事のタイトルの「白衣の堕天使」って、、、誰が考えたんだろ。

きっとおじさんだろうね。

キモイ。