なすみの日常ブログ

アラフォー独女のぼっち生活

家にあげてしまった

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押し売りを家にあげることなんて私は絶対にしないって思っていました。

でもそんなことはなかった・・・という話をしたいと思います。

敵は一枚上手です。

 

あの日、私は夜勤明けで頭がぼーっとしている状態で家に到着しました。

「やっと家についた、はやく寝たい」と思いながら部屋のドアを開けました。

すると、廊下のはしから「すいませーん」と大きな声を上げて20歳前後の小柄な女性が元気よく走ってきました。

「私は古紙回収をしているんです!いらない雑誌などあればいただけませんか?」と。

なんだ、なんだ、めんどくさいぞ早く寝たいのに。

しかし、雑誌を渡せば帰ってくれると思ったので雑誌を3冊くらい渡しました。

彼女はそれと引き換えにポケットティッシュをくれました。

 

もう用事はすんだから帰ってくれると思いきや、

「あの、すみませんがトイレを貸してくれませんか?」と言われました。

そのときの私の部屋といったらすごくちらかっていたうえに、トイレもいつ掃除したか思い出せませんでした。

6畳1ルームの部屋でしたからトイレをかせば部屋がすべて見られてしまいます。

でもトイレに行きたいのに行けないのはかわいそうと思ってしまい相手が女の子だからと部屋にあげてしまいました。

後から思えば家にあがる口実だったのでしょうがその時は気が付きませんでした。

 

彼女がトイレから出てきました。

これで帰ってくれると思いきや、帰らないんだわ・・・

彼女にしたらここからが本番だったのです。

狭い部屋の2歩分くらいしかない短い廊下で二人向き合いました。

「お願いします!!新聞を取ってくれませんか?」

「私、学校に行くお金を自分で稼がないといけないんです!」

と新聞の勧誘が始まりました。

勘弁してくれ・・・

申し訳ないがそれはあなたの問題であり、私には関係ない。

私だって職場にこき使われてヨレヨレになりながらも頑張って働いている。

血と汗と涙の結晶のお給料を読みもしない新聞に支払いたくない。

 

「お願いします!!1か月だけでもいいので!!」

「ごめんなさい。新聞は読まないのでとりません」

「お願いします!私、学校に行きたいんです!」

「ごめんなさい。とりません」

「お願いします!」

「ごめんなさい」

とひたすら繰り返しました。

どんなにしつこくされても絶対に折れない自信がありました。

もし暴力に訴えてきたとしても相手は女の子だからなんとかなると思いました。

そうしているうちに彼女のほうが諦めました。

「あ、じゃあもういいです」

突然スイッチが切り替わり、別人になりました。

「あ、雑誌もいいので返しますね」と返されました。

そして、すっと彼女は出ていきました。

変わり身の早さに驚き、ただぼんやりと見送りました。

 

静かに戻った部屋で一安心しました。

シャワーを浴びて病院でついた汚れを落としさっぱりしました。

すると、廊下から何か話している大きな声が響いてきました。

ちょっとだけドアを開けてみてみると同じ階の部屋からさっきの彼女が出てくるのが見えました。

ドアを開けたのは男性で、その部屋から彼女は出てきました。

そして「ありがとうございました!!」と言っています。

あの男性は彼女の押しに負けたんだなと思いました。

それにしても、見も知らない男性の部屋に入るなんて危ないよと思いました。

 

押し売りってこうやってスイって入ってくるんだなって思いました。

はじめは押し売りとは思わせず、後から本題を出してくる。

もし、ガタイのよい男性の口八丁にのって部屋にあげてしまったらと思うとこわい。

注意してもしすぎることってないなって思いました。

 

しかし、よく考えると彼女はこの建物にどうやって入ったのか・・・

この建物はオートロックでしたがマンションの玄関のインターホンと居室のインターホンはつながっていないのです。

住人の出入りに合わせて入ってくるしかありません。

この物件に引っ越してきてからは新聞の勧誘もNHKの集金人もくることがなかったので完全に油断しました。

ネットにオートロックでも油断してはいけないと書いてありました。

とはいえ大丈夫でしょうと思っていたけれど、違った。

 

経験しないとわからないことってあります。

私はこうしてまた一つ大人になりました。